
「ニワシドリのひみつ 庭師鳥は芸術家」
鈴木まもる=文・絵
岩崎書店 40p 1600円+税
2014年4月
産経児童出版文化賞JR賞受賞
子どものころ、森のなかで青いものをあつめたり、
小人の家のようなものをつくったりする鳥がいることを知り、
とてもふしぎに思いました。
そのふしぎのひみつをもとめて、ぼくは
オーストラリア、ニューギニアへ出発しました・・・
(カバーそでより)

とびら

p.2-3

p.4-5

p.8-9

p.38-39

後ろ見返し
<制作ノート>
いつのころからか覚えていませんが…
子供のころ、なにかの本でニワシドリのことを知りました。
昔のことなので、不鮮明な写真ですが、
鳥が青いものをくわえているようなものだったと思います。
なんでそんなことをするのか全く分からず、
ただただ不思議な鳥がいるものだなあと感じました。
小さいころから絵を描くのが好きだったから、
クレヨンの箱からクレヨンを選んでいることと
同じようなことを鳥がしているので親近感を持ったのかもしれません。
ぼくの心の中では、UFOとネッシーと、ナスカの地上絵と
イースター島の巨像、海の怪獣シーサーペント、雪男、
未開の地にまだ生きているかもしれない絶滅していない恐竜に並ぶ
世界の7不思議みたいな存在でした。
現実社会に生きながら、いつも心に未知なる神秘を
感じさせてくれる希望の光のようなものでした?
(ネッシーは残念な顛末でしたが……)
そうして絵本を描くようになり、山の中で暮らし、
鳥の巣を見つけ、”鳥がつくる”ということで
ニワシドリと現実的に再会することになりました。
昔より情報が多くなり、青いものを集めるニワシドリ以外のニワシドリが作る
”あずまや”も知れば知るほど、その造形の魅力と不思議が増すばかりでした。
やはり、どうしても実物を見なければ、という思いが強まり、
オーストラリアに行くことにしたのですが、ガイドさん探しから難航。
それでもなんとかオーストライアで4種の”あずまや”を見れました。
オーストラリアのガイドさんに
「ニューギニアは危険だから絶対行くんじゃない」
と言われたのですが、
翌年ニューギニアに行き、新たに3種見ることができました。
もう1種狙っていたのですが、
「その鳥は、この方向に3日間山の中を歩けば住んでいるぞ」
というすごいところで、
ヘリコプターを借りようかと真剣に迷ったのですが、
日程的に無理ということで、断念しました。
この時点でH社の月刊誌「たくさんのふしぎ」で「ニワシドリ」として発表したのですが、
編集方針から、あまり踏み込んだところまでいけず、
こんな不思議な鳥がいますよという序章的な作品となりました。
ぼく自身も、見たいと思っている、一番大きな”あずまや”をつくる
チャイロニワシドリの”あずまや”を見ていなかったし、
まだ”あずまや”づくりに対して、わからない部分もあったのです。
アオアズマヤドリの”あずまや”の小型のタイプを作るフウチョウモドキ系と、
オオニワシドリ系のマダラニワシドリのは造形的な部分で似ているというのと、
パフォーマンス的側面が強いパプアニワシドリの”あずまや”は
造形として、ちょっと違うということで、見ないでも良しとして、
最後に、一番大きな”あずまや”をつくるチャイロニワシドリは、
どうしても絶対見たいと思っていました。
でも調べてみると、チャイロニワシドリが住むニューギニアの左側イリアンジャヤは
国でいえばインドネシアなのですが、日本から飛行機で行くことができない地帯なのでした。
飛行機会社間でつながりがあれば、乗り継ぎ乗り継ぎしても、
最終的な目的地まで荷物は一緒に運ばれますが、
この一帯は、島が多く、小さな飛行機での行き来が多く、イリアンジャヤへは
小さな飛行機に3回乗り換えしないといけないところで、
それらは日本から切符が買えないのです。
何社かの旅行会社に聞いたのですが、「そこから先は買えない」という返事で、
さすがに、あきらめるしかないかと思っていたのですが、
マレーシアの知り合いのガイドさんが、
「現地で航空券を買いながら行けば良い、一緒に行ってあげるよ」
ということで、とうとう行くことができるようになったのです。
ここから、また現地のガイドさん探しでたいへんだったのですが、
なんとかクリア、飛行機を3回乗り継ぎ、そのたびに荷物を出し入れし、
(案のじょう、マレーシアのガイドさんの荷物が途中でなくなりました)
とうとう、ニューギニアから3年後、
チャイロニワシドリが住むイリアンジャヤ、アルファク山にたどり着けたのです。
ということで、見たかった”あずまや”を全部見て、
さらにフウチョウの行動、”踊り場”を見ることで、
さらに”あずまや”づくりの本質に迫ることができました。
前回の月刊誌の構成も全部変え、さらに新たな絵を描き、出版社も新たにしました。
出版してくれた岩崎書店の編集長のM岡さんは、前からニワシドリに興味を持っていて、
構成や組み立てで、たくさんのアドバイスをいただきました。
他の部署の方やデザイナーさんたちも、興味を持ってくれ、
そんな皆さんの熱意の後押しで、とうとう完成にこぎつけました。
絵だけでなく、最後に実物の写真も出ています。
今までは、変わったことをする鳥がいますよ、とか、
”あずまや”の周りでのニワシドリの行動や、
大きな”あずまや”をつくるニワシドリは羽の色が地味、
という程度でまとめられていたニワシドリの”あずまや”。
今回、”物を作る”という視点でまとめてみました。
ただ変わったことをする鳥がいますよという事だけでなく、
物を作ることの根源的な意味、鳥の巣との関係、
自分が作っている絵本との関係
(それはすべての人がしている職業にもつながることだと思います)。
自分がなぜ、子供のころから魅かれていたのか?
前回の月刊誌ではできなかった踏み込んだ内容になり、
今までのニワシドリの本とは違ったものができたと思っています。
そんなもろもろまで感じていただけると嬉しいです。
1カ所、原稿ではちゃんとなっていたのが、最後で文字化けしてしまい、
「オウゴンニワシドリ」が「オオゴンニワシドリ」になっています。
お許しください。
(鈴木まもる)
Amazon
↓
![]() |
ニワシドリのひみつ (ちしきのぽけっと) |
| 鈴木 まもる | |
| 岩崎書店 |
