
「ツバメのたび―5000キロのかなたから―」
鈴木まもる/作・絵
偕成社 40p ¥1400+税
2009年2月
にほんから 5000キロもはなれた みなみのくに
マレーシアから 1わのツバメが とびたった
なんのために ツバメは どこを めざすのか・・・
うみをこえ たびはつづく
ツバメの いきつくさきは?
(カバーそでより)
とびら
よんでいる
だれかが ぼくを よんでいる
とおくで ぼくを よんでいる
いかなければ
(p.4-5)
すいへいせんの むこう
ぼくを よぶこえが きこえる
なかまも とんでいく
(p.12-13)
やっと やすめる
あかるくなるまで すこし やすもう
(p.20-21)
このいろ このにおい
くうきが かわった かぜが かわった
ひかりが かわった
(p.24-25)
<制作ノート>
ある日、鳥が飛んでいる映像が頭にパッと浮かびました。
バックの風景も、鳥の表情も明快です。
これを絵本に描きたいと思いました。
どこから飛んできたのだろうと思ったら、次に、違う場面が出てきました。
どこに行くのだろうと思ったら、また別の場面が出てきました。
こうして、夜の灯台の場面、嵐の場面、船との遭遇の場面と、
次々に、いろいろな場面が出てきて……
改めて、この鳥はどこから旅立ち、どこに向かうのか……ということで、
渡りをテーマにした、このツバメの絵本の骨格ができました。
鳥の巣を探しに東南アジアに何度か行きました。そのたびに見た、
早朝から気持ち良さそうに低空を飛び回るツバメの姿や、
山頂から見た熱帯雨林、飛行機から見た景色など、諸々が、
「ツバメのたび」という形になったのでしょう。
さらに渡りのルートを調べていくと、九州と本州の間の豊後水道に、
水の子灯台というのがあり、灯台にぶつかって死んだ渡り鳥を
はく製にして展示してある渡り鳥館なるものがあることがわかりました。
これは是非見なくては、と大分に飛びました。
電車とバス、最後は軽のレンタカーを乗り継ぎ、
たどり着いたのは伊豆の家を出てから2日後のことでした。
夜の灯台を間近で見たく、小雨降る中、くねくね道を行き、
懐中電灯片手に斜面を登り……鶴御崎灯台にたどり着きました。
真っ暗闇の海と空。遠く海上にある水の子灯台の光がかすかに見えました。
翌日は快晴で、季節外れということもあり、誰もいない小さな浜にある
渡り鳥館には、数百体の墜死したさまざまな鳥達が展示されていました。
漁師さんから、船のすぐそばを飛ぶ渡り鳥たちの話も聞けたし、
とても内容のある取材ができ、気持ちよく絵に取りかかりました。
日本では、ツバメというと、この絵本の最後の数場面だけしか見ていません。
でもその前に、長い長い旅があること、そして、それがだれに教わることでもなく、
地図もない旅だということを、感じてくれたらと思います。
この取材の帰路、飛行機の窓から下を眺めながら、
僕ら人間も、ツバメと同じ、なにかに動かされて、どこかに向かって、
今旅をしているのだと思いました。